松本清張(1054)_雀一羽

題名 雀一羽
読み スズメイチワ
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)講談社=増上寺刃傷(講談社文庫)〕
【重複】〔(株)角川書店=潜在光景(角川ホラー文庫)〕
本の題名 松本清張全集 37 装飾評伝・短編3【蔵書No0136】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通) 
初版&購入版.年月日 1973/2/20●初版
価格 1200
発表雑誌/発表場所 「小説新潮」
作品発表 年月日 1958年(昭和33年)1月号
コードNo 19580100-00000000
書き出し 元禄年間のことである。内藤縫殿忠毘は御書院番士で、五百石を領する旗本であった。性来、木訥で実直である。常から忠勤を励んで、少しくらいの病気では欠勤したことがない。いかにも御役目大事と謹直に出てくる。いつぞや瘧を患った時などは、熱のある赭い顔をして押して出て来て、皆を愕かしたことがあった。組頭はもとより、相番の者にも受けがよかった。営中の虎の間、柳の間、玄関前、中雀門、番所といった受けもちの場所を丹念に見廻りし。少しの懈怠が見えない。のみならず、新参の者には殊のほか親切に世話した。えてして古参の者は新参の輩に意地悪く当たり勝ちであるが、内藤縫殿に限って誠に行き届いた指導をするのである。自然と人々は縫殿を尊敬するようになった。縫殿は人望を蒐め、上からも属目されて次第に加増され、元禄七年の春には石高千二百石、御書院番組頭に挙げられ、布衣(六位)を仰せつけられた。
作品分類 小説(短編・時代) 14P×1000=14000
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