松本清張_天才画の女(【禁忌の連歌】第三話)

(株)新潮社天才画の女(1979/02/20):【天才画の女】〕

題名 天才画の女
読み テンサイガノオンナ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=禁忌の連歌
●全4話
1.
渡された場面
2.状況曲線/
状況曲線(上)状況曲線(下)
3.天才画の女
4.黒革の手帳/黒革の手帳(上)黒革の手帳(下)
(株)新潮社=天才画の女
本の題名 天才画の女【蔵書No0083】
出版社 (株)新潮社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1979/02/20●初版
価格 870
発表雑誌/発表場所 「週刊新潮」
作品発表 年月日 1978年(昭和53年)3月16日号〜10月12日号
コードNo 19780316-19781012
書き出し 八時十分に赤坂の料亭の前をはなれた車は、同四十分には渋谷南平台界隈のゆるい坂にかかっていた。ネオンをまじえた賑やかな光が溜まっている下とは反対側、高台に落ちついた灯が暗い立木や植込みの間にばらついていた。三月終わりの夜空にはまだ寒さが眼に映った。寺村素七は八時になるのを待って料亭の座敷を立った。あとは打合わせどおりに常務に任せた。こちらは招待されている側なので、早めの退席もそう失礼ではない。招んでくれているのは、ある企業の経営陣であった。寺村は陽和相互銀行の社長で、六十三歳になる。血色もいいし、肥っているほうである。いまの相互銀行が陽和無尽会社と言ったころからの社長で、父親と二代つづけてのオーナーであった。九時前にはわが家の玄関に入った。背のよく伸びた妻が出迎えた。「葛野先生の画は出してあるだろうな?」寺村素七は靴を脱ぎながらスラックスの膝を敷物の上に突いている妻にきいた。「応接間に置いてあります」「どうだね?」画の印象のことだった。
作品分類 小説(長編/シリーズ) 279P×680=189720
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【帯】サスペンス長篇小説
果たして女は天才か?謎の多い新人の製作をめぐって渦まく商算と評論家の欺瞞をあばく話題作!!