松本清張_黒い樹海

題名 黒い樹海
読み クロイジュカイ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 黒い樹海【蔵書No0036】 映像の世界【TV】  
出版社 (株)光文社
本のサイズ 新書(KAPPANOVELS)
初版&購入版.年月日 1962/10/20●121版1976/07/10
価格 580
発表雑誌/発表場所 「婦人倶楽部」
作品発表 年月日 1958年(昭和33年)10月号〜1960年(昭和35年)6月号
コードNo 19580100-19600600
書き出し 姉は十一時すぎに帰ってきた。笠原祥子はアパートの表に自動車の止まる音を耳にし、それから靴音が堅いコンクリートの階段を上がってくるのを聞いて、姉は上機嫌なのだと思った。姉の信子はR新聞社に勤めている。文化部の記者として外を歩きまわっているから、帰りの時間は不規則だった。遅くなると、社の車で送られて戻ることが多い。姉の機嫌のよし悪しは、車のドアを閉める音の高低でもわかったし、次に、こつこつと三階まで響かせる足音の調子でも妹には判断できた。ドアを煽ってはいったときから、姉の顔は少し酔って上気していた。「ただ今。」声が普通より大きかった。「あら、飲んだの?」祥子の目に、姉は笑みかけ、いつもよりは乱暴に靴を脱いで、畳の上に上がった。「お食事は?」「ごめんなさい。すんじゃったわ。」その返事を、姉は後ろ向きになって外出着を脱ぎながら言った。
作品分類 小説(長編) 262P×900=235800
検索キーワード 商事会社・アパート・バス事故・旅・仙台・浜松・事故死・姉妹・新聞社・男
【カバー】「仙台の伯父さまに会って十和田湖へ・・・・・・」と、微笑をのこして東北へ旅立った美貌の婦人記者、だが彼女は、まるっきり方向ちがいの浜松で、もの言わぬ死体となって発見された。姉を愛し崇拝していたその妹は、その死のナゾをとくために、姉の周囲に群がった男たちに近づいてゆく。−−−一流の評論家、彫刻家、デザイナー、医者、生け花の大家−−−六人の容疑者たち!