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検索キーワードに見る清張作品の傾向と対策?

(その十八:吹雪・積雪)冬は沢山ある

清張作品の書き出し300文字前後からあぶり出すキーワード!
(登録キーワードも検索する)


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季節のキーワードとしては少なかった。
思いつくまま「吹雪」・「積雪」を検索したが、他にはないか...
「雪崩」「雪山「氷雨」...
乏しい語彙から検索したが、ヒットしなかった。「氷雨」は、題であった。



※【吹雪】では
葡萄唐草文様の刺繍(改題)

※【積雪】では
影の車 第六話 田舎医師



ただ、「冬」「氷」「雪」では相当数がヒットした。

『冬』

乱雲(改題)<br>
絢爛たる流離 第十二話 消滅<br>
黒い画集 第七話 凶器<br>
西街道談綺 一<br>
地の指<br>
塗られた本<br>
屈折回路<br>
彩色江戸切絵図 第五話 蔵の中<br>
彩色江戸切絵図 第一話 大黒屋<br>
点<br>
火の路(上)<br>
グルノーブルーの吹奏<br>
骨折(グルノーブルの吹奏)<br>
断崖<br>
不運な名前(藤田組贋札事件)

『氷』
乱雲(改題)
失踪",
黒い画集 第七話 凶器
一九五二年日航機「撃墜」事件


『雪』
点と線
骨壺の風景
影の車 第三話 薄化粧の男
影の車 第六話 田舎医師"
眼の気流
黒い画集 第七話 凶器
黒の線刻画 第一話 網(下)
氷雨、
けものみち
彩色江戸切絵図 第五話 蔵の中
紅刷り江戸噂 第一話 七種粥"
紅刷り江戸噂 第六話 役者絵"
小説日本芸譚 第一話 古田織部
小説日本芸譚 第三話 千利休  
小説日本芸譚 第十一話 雪舟",
日本の黒い霧 第四話 白鳥事件
穴の中の護符
隠花の飾り 第七話 お手玉",
閉じた海



2020年02月21日

 



題名 「吹雪・積雪」
上段は登録検索キーワード 
 書き出し約300文字
葡萄唐草文様の刺繍(改題)   ブリュッセル・ホテル・テーブルクロス・バーのマダム・週刊誌・刺繍・みぬま
ブリュッセルの十月半ばは寒い。夜になるとホテルのロビーの真ん中で焚き火をするくらいだから。−−−鉄製の大きな四角い炉があって、横に井桁に積んだ白樺やモミの割木を、周囲の客は椅子に腰掛けながら火が衰えると一,二本ずつ投げこむ。ロビーの天井には凝った意匠の大シャンデリヤが輝いているのに、客は赤い炎の色を好む。ホテルはアメリカ式建築で、広い幅の環状線にあたる坂道の上にあった。このならびは目抜きの商店街だが、その背後はすぐ中世風な協会や民家がならんでいる。ホテルの九階の北向きの窓際に立つと、緑青をふいた最高裁判所の円屋根が十七世紀の黒ずんだ巨大な建物の上をどっかと蔽い、鳩の群を紙吹雪のように遊ばせている。それが眼と平行のところで見えるのだ。 
田舎医師(影の車第6話)  備後落合・三次・仁多郡葛城村・開業医師・部落・消防団・馬・炭・親戚・雪 
杉山良吉は、午後の汽車で広島駅を発った。芸備線は広島から北に進んで中国山脈に突き当たり、その脊梁沿いに東に走る。広島から備後落合までは、普通列車で約六時間の旅である。良吉は、この線は初めてだった。十二月の中旬だったが、三時間ばかり乗りつづけて三次まで来ると、初めて積雪を見た。三次は盆地になっていて、山が四方を囲んでいる。昼過ぎに出た汽車もここまで来ると、夕闇の中を走ることになった。三次駅では大勢の乗客が降りた。白い盆地の向こうに、町の灯りが見える。汽車から降りた黒い人の群は、厚い雲の垂れ下がった黄昏の中を急ぐ。汽車は駅ごとに停った。その駅名のなかに、良吉が父から聞かされた地名もあった。庄原、西城、東城などがそうである。この辺りまで来ると、広島を発つときは一ぱいだった乗客もほとんど降りてしまって、その車輌には良吉のほか五,六人が座っているにすぎない。 

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