登場人物
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津留江利子 |
良夫の夫。恭太の母。結婚した素芽子は姉。息子の行動に手を焼く。夫の協力も余り得られず、悩んだ揚げ句、恭太の担任の教師(刈屋)に相談する。
刈屋の話から、姉の自殺が思わぬ方向へ進んでいく。夫の弟の結婚式へ参列する旅で「重三」を知る。それは、信雄につながり、恭太へとつながる事へ恐怖を抱く。
夫婦の会話から、姉の素芽子の自殺に疑問を持つ。 |
津留良夫 |
一応一流会社の課長らしい。夫婦仲も特別悪くはないが、息子の生活が荒れていることに悩む。体力的にも息子に太刀打ちできない。
江利子の姉の自殺に疑問を持つ。青酸カリの入手経路など推理を廻らし、一定の結論を出し、江利子に話す。 |
津留恭太 |
江利子・良夫夫婦の息子。恭太の行動には夫婦とも手を焼く。性的な悪習も時期が来れば直るとも思われないほど荒れた生活をしている。
江利子や良夫は、重三や信雄に重なって見える。 |
おばさん(家政婦) |
津留家の通いの家政婦。江利子夫婦が息子の恭太に手を焼く様を知っている。江利子は口の軽そうな家政婦から津留家の秘密が漏れることを警戒する。 |
旗島素芽子(津留素芽子) |
津留江利子の姉。旗島信雄の妻となる。結果として、旗島家の犠牲になる。素芽子は、青酸カリで服毒自殺をしたことになっているが、ちがうようだ。
夫の信雄と義母の織江の特殊な関係に気がつき苦悩する。 |
旗島信雄 |
旗島実造・織江の養子。津留素芽子と結婚する。江利子は義理の妹になる。養母の織江と特殊な関係で結ばれている。
結婚後もその関係は「歯止め」が掛からなかった。妻の素芽子は、青酸カリで服毒自殺をしたことになっているが、殺された可能性が示唆されている。 |
旗島織江 |
旗島信雄の養母。十七,八歳の信雄の悪戯を身をもって収めたのか?織江が信雄にほどこしていた厳格な躾は、他人の眼に隠れ蓑となっていた。
きびしい躾と溺愛とは隣り合っていた。二人の関係が素芽子を自殺に追いやった訳ではなさそうだ。 |
旗島実造 |
旗島信雄の養父。信雄と素芽子が結婚した当時は、朝鮮の京城に居た。朝鮮総監府の局長。妻織江と信雄の秘密を知っていた。 |
刈屋先生 |
津留恭太の担任教師。康太の母親から、相談を受ける。恩師の楢林の話を聞かせる。刈屋が話した楢林は、旗島信雄の同級生だった。
そして、その楢林は、津留良夫と同じ会社の資材課長の兄だった。江利子も面識があった。 |
楢林 |
津留良夫と同じ会社の資材課長。楢林には兄が居て、旗島信雄の同級生。兄は、応用化学の講師で旗島信雄に青酸カリをわけてやる。 |
川田静子 |
薬問屋を営んでいる。津留素芽子の友人。素芽子に青酸カリを売る。 |
重三 |
川棚の重三。病的性欲の持ち主。良夫の実家近くに住む。母親が重三の悪癖を身をもって収めたの噂がある。 |