松本清張_無宿人別帳 第十二話 雨と川の音(改題・総題)

(原題=なかま(前編)・雨と川の音(後編))(総題=雨と川の音)

(株)文藝春秋=全集24(1972/10/20)〕:【無宿人別帳】で第十話〕

題名 無宿人別帳 第十二話 雨と川の音
読み ムシュクニンベツチョウ ダイ12ワ アメトカワノオト
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=無宿人別帳
(原題=なかま(前編)・雨と川の音(後編))
(総題=雨と川の音)

「なかま」が改題して「雨と川の音」の前編となる。
●全12話
 1.町の島帰り
 2.海嘯
 3.
おのれの顔
 4.
逃亡
 5.
俺は知らない
 6.
夜の足音
 7.
流人騒ぎ
 8.
抜け舟(未購入)
 9.
赤猫
10.
左の腕
11.
なかま(未購入)
12.雨と川の音
●全集(全10話)
 1.町の島帰り
 2.海嘯
 3.
おのれの顔
 4.
逃亡
 5.
俺は知らない
 6.
夜の足音
 7.
流人騒ぎ
 8.
赤猫
 9.
左の腕
10.雨と川の音
本の題名 松本清張全集 24 無宿人別帳・彩色江戸切絵図/紅刷り江戸噂【蔵書No0134】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/10/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「オール讀物」
作品発表 年月日 1958年(昭和33年)8月号
コードNo 19580800-00000000
書き出し 江州無宿の与太郎が博奕場の争いで人を斬って伝馬町に入牢した。羽目通りに座ったその晩から彼は腹を押さえて苦しみだした。身体を前に折って低い呻きを漏らしていた。「おい、どうした?」と牢役人が寄ってきて訊いた。牢内で病人が出ることは珍しくない。「牢内の病気とはみな牢疫病なり。これは数年人々をこめ置き候故、自然と人の身の臭気こもりて、此の臭気に入れ候故、皆牢疫病に成るといふ」と《牢獄秘話》という写本にあるが、この牢疫病というのは、牢内で発生する伝染病のことだ。新しい空気と光から閉鎖された陰惨な世界だから、こんな病気は起こり勝ちで、牢死する者も少なくなかった。だが、与太郎はいま入牢したばかりだから牢疫病ではない。彼は顔を顰めて答えた。「なんだか胸元が苦しくてなりません。下腹のあたりが引き吊るように痛みます」「てめえ。病気持ちか?」「へえ。これが持病でございます」「疝気ぐれえであわれっぽい声を出すな。今晩一晩、おとなしく我慢して居ろ。ここは地獄の溜場で、これからも随分と我慢の要るところだ」牢役人は威かすように云った。
作品分類 小説(短編・時代/シリーズ) 20P×1000=20000
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