松本清張(1044)_無宿人別帳 第十話 左の腕

〔(株)文藝春秋=全集24(1972/10/20)〕 【無宿人別帳】で第九話として発表〕

題名 無宿人別帳 第十話 左の腕
読み ムシュクニンベツチョウ ダイ10ワ ヒダリノウデ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=無宿人別帳
●全12話
 1.町の島帰り
 2.海嘯
 3.
おのれの顔
 4.
逃亡
 5.
俺は知らない
 6.
夜の足音
 7.
流人騒ぎ
 8.
抜け舟(未購入)
 9.
赤猫
10.左の腕
11.
なかま(未購入)
12.
雨と川の音
●全集(全10話)
 1.町の島帰り
 2.海嘯
 3.
おのれの顔
 4.
逃亡
 5.
俺は知らない
 6.
夜の足音
 7.
流人騒ぎ
 8.
赤猫
 
9.左の腕
10.
雨と川の音
本の題名 松本清張全集 24 無宿人別帳・彩色江戸切絵図/紅刷り江戸噂【蔵書No0134】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/10/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「オール讀物」
作品発表 年月日 1958年(昭和33年)6月号
コードNo 19580600-00000000
書き出し 深川西念寺横の料理屋松葉屋に、この一月ほど前から新しい女中が入った。まだ一七だったが、小柄でおさない顔をしている。しかし、苦労しているらしく、することが何でも気が利いていて、よく働く。おあきという名だったが、一二,三人も居るこの家のふるい女中たちからはすぐに可愛がられた。松葉屋は、おあきと同じ日に六十近い老人を下男に雇い入れた。庭の掃除や、客の履物番、風呂焚き、薪割り、近くへの使い走りなどの雑用をさせる。卯助といって、顔に皺が多く、痩せた男である。あまり口かずを利かないが、これも精を出して働く。のっそりとして動作が鈍いのは年齢のせいだろうが、仕事に陰日向がない。おあきと卯助とが同時に松葉やに奉公したのは、二人が親子だからである。実をいうと、卯助は近くの油堀を渡った相川町の庄兵衛店の裏長屋に住んで、それまでは飴細工の荷を担いで売り歩いていた。飴細工は葭の茎の頭に飴をつけ、茎の口から息を吹いて飴をふくらませ、指で鳥の形などをこしらえて子どもに買わせる荷商いである。
作品分類 小説(短編・時代/シリーズ) 15P×1000=15000
検索キーワード 入墨、松葉屋、奉公、飴細工、押し入り、蜈蚣、料理屋、十手、包帯、火傷