研究室_蛇足的研究

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2023年10月21日


清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!




研究作品 No_148
二つの声
(シリーズ作品/黒の様式:第四話)

野鳥の声を録音しようと言い出したのは妻我富夫である。妻我は浅草の洋菓子店主で、富亭という俳号をもっている。富夫の「夫」を亭主の「亭」にひき直したのである。●蔵書【松本清張全集9】(黒の様式)文藝春秋社●「週刊朝日」1967年(昭和42年)7月7日号〜10月27日号
〔週刊朝日〕
1967年(昭和42年)7月7日号〜10月27日号


野鳥の声を録音しようと言い出したのは妻我富夫である。妻我は浅草の洋菓子店主で、富亭という俳号をもっている。富夫の「夫」を亭主の「亭」にひき直したのである。妻我の仲間は、越水重五郎という会社員と、進藤敏郎という金物商と、原沢規久雄という料理店主で、三人とも俳号を持っていた。原沢だけが三十二で、妻我と越水と進藤は五十近くだった。ほとんどが浅草付近に住んでいるので、何かというと顔を合わせる。仲間内だけの句会も月一回必ず行った。俳句には野鳥がよく詠みこまれる。野鳥の句を最も多く詠んだのは水原秋桜子であろう。秋桜子の   仏法僧青雲杉に湧き湧きける   筒鳥を幽かにすなる木のふかさ   などはこのごろの季節だ。つまり、六月半ばである。妻我富夫が越水に遭ったときに、野鳥の声を録音してみたいがと言いだしたのは六月十二日だった。彼はこう話した。
書き出しの
>野鳥の声を録音しようと...
で、「剥製」を思い出した。
>野鳥の啼き真似をして同類をあつめるだろう...
共通は「野鳥」だけのようです。
書き出しとしては、人名が多数登場する。
妻我富夫・越水重五郎・進藤敏郎・原沢規久雄
そして、水原秋桜子である。秋桜子は、俳句に「野鳥」を多く読んだ俳人として紹介されている。
偶然だが、今日(2023/09/23)、「秋桜」をいつからコスモスと読むようになったのか新聞?で読んだ。
正確には、アキザクラと読むらしいのだが、コスモスと読ませたのは、さだまさしらしい。山口百恵に提供した「秋桜」で、彼が作詞作曲
始は、「小春日和」のタイトルだったらしい。余計なプチ情報でした。
でも、「秋桜」をコスモスとルビを振って俳句を詠むことは正しくないようです。

俳句仲間が、野鳥の声を録音とは、しかもタイトルが『二つの声』。おそらく録音された「声」なのだろうが、「声」と言えば、『混声の森
遠くからの声』『』と、作品があり、それぞれ興味深い。

10月21日に更新しているが、下書きをUPしてしまった。(2023年10月28日/再登録)