題名 | 遠くからの声 | |
読み | トオクカラノコエ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 遠くからの声■【蔵書No0007】 | |
出版社 | (株)講談社 | |
本のサイズ | 文庫(講談社文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1976/10/15●2版1976/12/15 | |
価格 | 260 | |
発表雑誌/発表場所 | 「新女苑」 | |
作品発表 年月日 | 1957年(昭和32)5月号 | |
コードNo | 19570500-00000000 | |
書き出し | 民子が津谷敏夫と結婚したのは、昭和二十五年の秋であった。仲人があって、お見合いをし、半年ばかり交際をつづけ、互いに愛情をもち会って一緒になった。愛情は民子の方がよけいに彼に傾斜したといえる。その交際の間、民子の妹の啓子は、時々、姉に利用された。民子の家庭は割合にきびしい方だったから、民子が敏夫と会うのに、そう何度も実行するのは気が引けた。その場合に啓子は利用された。一人で外出はいけないが、二人なら宥される。そのような家庭であった。民子と敏夫の会合は銀座へ出てお茶を飲んだり、食事をしたり、映画を見たり、そんな他愛のないものだったが回数の半分は啓子が必要であった。姉にとって邪魔な存在だったが、家を出るときには重宝だった。啓子は食事でも勝手な注文をつけ、映画も自分の好みを主張した。「利用の報酬としては当然の支払いよ」と云った。散歩するときでも姉たち二人を先にやるという心遣いは無く、いつも敏夫を真ん中にして並んで歩いた。啓子が居る限り、民子は敏夫と二人で居られるという意識の流れは寸分も無く、いつも啓子が対等に割り込んできた。その時、啓子は女子大を卒業する前の年であった。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 20P×650=13000 |
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