研究室_蛇足的研究

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2022年12月21日


清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!




研究作品 No_139
百円硬貨
(シリーズ作品/隠花の飾り:第六話)

男には妻子があった。村川伴子は十三歳上のその男−−−細田竜二というのが、彼とは四年越しの関係だった。伴子は、東京下町のA相互銀行支店に十年間つとめている。●蔵書【隠花の飾り】(株)新潮社●「小説新潮」1978年(昭和53年)7月号
〔小説新潮〕
1978年(昭和53年)7月号



男には妻子があった。村川伴子は十三歳上のその男−−−細田竜二というのが、彼とは四年越しの関係だった。伴子は、東京下町のA相互銀行支店に十年間つとめている。出納係になってからも七年が経っていた。人柄がよく、仕事を能率的にするので上司に気に入られていた。容貌もきれいなほうである。二十をすぎてから縁談がかなりあった。秋田県にいる両親からのもあり、こっちの知り合いのもあった。どれも気がすすまなかった。二十三のときにちょっとした恋愛をしたので、そのころの縁談は断った。その恋愛も深くすすまないうちに、相手の欠点が目に立って伴子のほうから交際を断った。二十五、六になると田舎の両親があせって東京を切りあげて帰ってくるようにとしきりに催促した。二十八、九になるとそれもなくなった。戻る意志のないこと、結婚は当分しないことを言ってやったからである。
シリーズ作品【隠花の飾り】第六話

主人公であろう、村川伴子の経歴は何処かで読んだ感じがした。
ありふれたパターンでもある。男の名前が初めから明らかになっている。名前を細田竜二。
二人の関係は、男に妻子があることで不倫関係である事に間違いは無いだろう。それに十三歳年上となると、男女関係のもつれが話の中心になるのであろう。

ありふれたパターンと紹介したが、そこそこの美人で恋愛経験もある。
縁談も断っている内に、話が来なくなってくる。
田舎の両親も焦ってきて、戻ってくるように説得をする。
当分結婚する意思もないと伝えると、諦めて、何も言わなくなる。
実は男がいた。
それもすぐに結婚できるような相手ではない。
女が男を持て余すのか、男が女を負担に思うのか、二人に別れがやってくる。

そんなパターなのではないか? 清張作品では、そんな終わり方はしないはずだ。

地方紙を買う女」・「鉢植えを買う女」・「年下の男」と同じ臭いがする。