(原題=昇る足音) 〔(株)文藝春秋=松本清張全集66〕
題名A | 疑惑 | |
読み | ギワク | |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=疑惑〕 【同姓同名】 (原題=昇る足音) |
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本の題名 | 松本清張全集 66 老公 短篇6■【蔵書No0233】 | |
出版社 | 文藝春秋(株) | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1996/03/30●初版 | |
価格 | 1631円税込み:中古/アマゾン | |
発表雑誌/発表場所 | 「オール讀物」 | |
作品発表 年月日 | 1982年(昭和57年)2月号 | |
コードNo | 19820200-00000000 | |
書き出し | 十月の初めであった。北陸の秋は早くくるが、紅葉まではまだ間がある。越中と信濃とを分ける立山連峰のいちばん高い山頂に新しい雪がひろがっているのをT市から見ることができた。T市は県庁の所在地である。北陸日日新聞の社会部記者秋谷茂一は、私立総合病院に入院している親戚に者を見舞ったあと、五階の病棟からエレベーターで降りた。一階は広いロビーで、受付や薬局の窓口があり、長椅子が夥しくならぶ待合室になっていた。そこには薬をうけとる外来患者がいつもいっぱいに腰をかけていた。名前を呼ばれるまでの無聊の時間を、横に据えつけたテレビを見たりしていた。ロビーから玄関の出口に歩きかけた秋谷の太い黒縁眼鏡の奥にある瞳が、その待合室の長椅子の中ほどにいる白髪の頭にとまった。頸が長く、痩せた肩が特徴で、後ろから見ても弁護士の原山正雄とわかった。原山はうなだれて本を読んでいた。 | |
作品分類 | 小説(中編) | |
検索キーワード | 北陸・県庁所在地・保険金・国選弁護人・マスコミ報道・悪女 |