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人物描写の研究 ■コメント■ |
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描写 の 視点 |
人物(名前) (推定年齢) |
人物描写 |
芦野信弘 | 名和薛治(没42歳) | 名和の顔は人一倍大きく見えた。鼻でも口でも人より誇張されて いた。近視眼のように腫れぼったい眼をしていたが、瞳は相手の顔 にぐっと見据えてものを言う癖があった。 彼が我々の間に入ってくると、とても敵わないというような圧迫感を 受けた。 ■コメント■ でも、小心者。 |
作者(私) | 芦野信弘(没72歳) (名和の二歳年下) |
憎しみは、妻と名和との交渉を知ったとき変貌を遂げた。 意識化の劣等感にそれは接着して、陰湿だが、名和への襲撃と なった。 酒の飲めない芦野は、多分、薄ら笑いを泛かべながら名和の錯乱を 静かに観察していたことであろう。 ■コメント■ 粘着気質の男。誰がそうした...。清張作品には比較的よく出てきそうな人物。 |
芦野信弘 | 芦野の妻(?歳) (芦野と別れた後自殺) |
芦野信弘が書いた本を私は何度目かに繰った。するとそこには、 「帰国した名和の興味は日本の古い女の姿にも移った。 私の妻もそういう女だった。彼は大いに面白がり、次第に芸妓や 舞妓も描くようになった」の文句がある ■コメント■ 芦野を裏切るのだが、具体的描写hない。 |
私 | 芦野陽子(35歳) (7歳の時名和が死亡) (3歳で母と別れる) |
三十四、五の小肥りした固い顔の感じの女が出てきた 幅の広い膝を上がり框の前に揃えてがっしり坐り、訪問者が それ以上踏み込むことを拒絶.... と陽子は、一重皮の、眦が少し切れ上がった瞼の間から私を 見上げて... 彼女は微笑の変わりに、きつい感じの切れ長な眼を鋭く光らせて いるだけだった。 ■コメント■ 名和に似ている。 |
作者 | 葉山光介(72歳?) (名和や芦野と同年齢?) |
いまの蒼光会の親方である葉山光介は名和の模倣を自己流に 歪形したと悪口を言われているほどだが、皮肉なことに葉山は名和 を蒼光会から追い出した一人ということになっている。 (私) 葉山光介は写真で見る通りの顔で、銀髪を乱して現れた。 ■コメント■ 大家なみ。 |