松本清張_黒革の手帖(上)(【禁忌の連歌】第四話)

(株)新潮社黒革の手帖(上)(1980/06/25):【黒革の手帖】〕

題名 黒革の手帳(上)
読み クロカワノテチョウ(ジョウ)
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名=禁忌の連歌
●全4話
1.渡された場面
2.状況曲線/
状況曲線(上)状況曲線(下)
3.
天才画の女
4.黒革の手帖/黒革の手帖(上)黒革の手帖(下)
(株)新潮社=黒革の手帖(上)
本の題名 黒革の手帖(上)【蔵書No0084】 映像の世界【TV】
出版社 (株)新潮社
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1980/06/25●初版
価格 980
発表雑誌/発表場所 「週刊新潮」
作品発表 年月日 1978年(昭和53年)11月16日号〜1979年(昭和54年)2月14日号
コードNo 19781116-19790214
書き出し 「クラブ・燭台」は銀座の並木通りを土橋近くへ歩く横丁で、このへんに多いバア・ビルの一つにあった。五階まで全部クラブとかバアとかの名のつく店で占められていた。ママの岩村叡子は大柄な、背の高い女で、けっして美人ではないが、あっさりとした愛嬌がある。三十四,五くらいで、鼻の先が少し上向いている。頭の回転も早い、開店して十年以上になるが浮沈の多い銀座の世界では人なみ以上の経営才能を要する。女の子が三十人くらいで、半分以上入れ替えがかなり激しい。十一月のある晩、絵描き仲間が三人寄った。向こうのテーブルに顔の小さなホステスがついている。小紋の肩も細い。こちらから眺めても三十を二つか三つは出ているように思われる。「あのひと、新顔だね?」「はい。ハルエさんというの」画家はAの視線に瞳を合わせた千鶴子というのが教えた。「半月前からよ」Aがハルエという女を煙草の煙の中でときどきそれとなく監察すると、なんだかぎこちないところが見える。前から居る女たちが客とふざけていても、ハルエは上体を棒のようにして座っていた。顔は精一杯の愛想笑いをしていたが。
作品分類 小説(長編/シリーズ) 538P×680=365840(271P+267P)
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