松本清張_雑草群落(上)(改題)

(原題=風圧)

題名 雑草群落(上)
読み ザッソウグンラク_1(ジョウ)
原題/改題/副題/備考 (原題=風圧)
雑草群落(上)
雑草群落(下)
本の題名 雑草群落(上)【蔵書No0052】
出版社 (株)光文社
本のサイズ 新書(KAPPANOVELS)
初版&購入版.年月日 1979/10/25●初版
価格 630
発表雑誌/発表場所 「東京新聞」
作品発表 年月日 1965年(昭和40年)6月号18日号〜1966年(昭和41年)11月7日号
コードNo 19650618-19661107
書き出し 雨は昼間より激しいものに見えた。ヘッドライトの先の舗道に白い水煙が立ち昇っている。「すっかり梅雨だね」高尾庄平はタクシーの運転手の背中に話しかけた。運転手は返事をしない。車を止めて煙草を吸っている。前に車の列がつかえているので、不機嫌だった。新宿から甲州街道へ抜ける西口のあたりはことに混雑する。夜の九時ごろだが、いつもだと、すいているのに、雨のせいで、数も多く、容易に進めない。ワイパーだけがフロントガラスにいそがしく回転していた。遠くの信号が青に変わっても車はわずかに進んだだけだった。運転手は舌打ちして煙を吐く。「雨が降ると、君たちも忙しいね」高尾庄平は愛想を言った。「いくら忙しくても、こう走れないんじゃ商売にならないよ」運転手は、いらいらした声を投げた。庄平は、雨滴れの流れている窓から外をのぞいていた。商店街の明るい灯の下では無数の傘が動いていた。
作品分類 小説(長編) 522P×780=407160(258P+264P)
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【カバー】古美術商「草美堂」の主人・高尾庄平は30も年下の料理屋の女中・和子と一年前から関係がある。火事で焼け出された和子を新築のアパートに移らせ、デパートで家具などを買いそろえた。その買い物の途中、同業の駒井竜古堂が国立総合美術館の佐川課長と連れだってきているのに出会った。文化財保護委員の佐川は、庄平たちの業者仲間では幅をきかせている男である。−−−古美術蒐集のため金に糸目をつけぬ明和製薬の村上社長へ接近を図る庄平は竜古堂の動きに危険な策謀を感じた・・・・・・。古美術界の実態を鋭く描破した巨匠の異色の大作。