松本清張(1097)絢爛たる流離 第十二話 消滅

〔(株)文藝春秋=全集1(1971/06/20):【絢爛たる流離】第十二話〕

題名 絢爛たる流離 第十二話 消滅
読み ケンランタルリュリ ダイ12ワ ショウメツ
原題/改題/副題/備考 ●シリーズ名(連作)=絢爛たる流離
●全12話=全集(全12話)
 1.土俗玩具
 2.小町鼓
 3.
百済の草
 4.
走路
 5.
雨の二階
 6.夕日の城
 7.

 8.
切符)
 9.
代筆
10.
安全率
11.
陰影
12.
消滅
本の題名 松本清張全集 2 眼の壁・絢爛たる流離【蔵書No0021】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1971/06/20●初版
価格 800
発表雑誌/発表場所 「婦人公論」
作品発表 年月日 1963年(昭和38年)12月号
コードNo 19631200-00000000
書き出し 湘南地方のN都市は、最近、新しい別荘地帯としてとみに株を上げてきた。深く抉られた入江は、夏はヨット港になったし、冬は色づいた密柑山に囲まれて十分に暖かであった。つまり、避暑によく、避寒によかったので、誰かがここに目をつけ小さなコテージを建てた。誰かといっても無名の人間(たとえ金持ちであっても)ではブームにならない。それはジャーナリストが写真班を連れてくるような「著名人」でなければならなかった。映画監督でもいいし、歌手でもいいし、画家でもいいし、小説家でもよかった。俳優ならなおよかった。最初の開拓者がどのような職業であったかは問うところでない。とにかく、一群の有名人たちが別荘をここに持ったことでN地は急激にマスコミの脚光を浴びたのである。雑誌のグラビアには、高名な若い芸術家がヨットに半裸で乗り込んでくるところや、人気女優が海の上にさし出たベランダの上で嫣然としている姿など、きれいな調子で紹介された。
作品分類 小説(短編/連作) 15P×1000=15000
検索キーワード 別荘地・溶接工・蜜柑畑・融解・小説・ドストエフスキー・講義録・ガスバーナー