松本清張(1034)_いきものの殻

題名 いきものの殻
読み イキモノノカラ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 延命の負債【蔵書No0017】
出版社 (株)角川書店
本のサイズ 文庫(角川文庫)
初版&購入版.年月日 1987/06/25●初版
価格 380
発表雑誌/発表場所 「別冊文藝春秋」
作品発表 年月日 1959年(昭和34年)12月号
コードNo 19591200-00000000
書き出し タクシーは、門を入って、しばらく砂利道を徐行した。片側の斜面に紅葉が見える。前栽培にも、紅葉がある。その蔭から、玄関に立て看板のように出された「R物産株式会社社人会会場」の貼紙が見えてきた。白服のボーイが二人、大股で寄ってきて出迎えた。溜まり場には自家用車が夥しくならんでいた。波津良太は、タクシーの運転手に賃金を払って降りるのが恥ずかしくなった。正面に設けられた受付の席から、係りが五,六人、波津の方を見ている。波津は、弱みを見せない足取りで、受付の前に行った。若い人ばかりで、波津が知っている顔は一つも無い。「どちら様ですか?」立派な洋服を着た青年が、丁寧に聞いた。向こうでも波津の顔を識っていない。
作品分類 小説(短編) 18P×600=10800
検索キーワード R物産株式会社・定年・社人会・総務部長・東銀座