.

疑問 疑問疑問※「信玄軍記」と「信玄戦旗」

ページの最後

  疑問  10
蛇足的疑問

シリーズ作品と単行本・【草の径】に関連して

疑問のMENU
  疑問
シリーズ作品として直ぐ思いつくのは、「昭和史発掘」・「日本の黒い霧」・「現代官僚論」ドキュメント物などで、小説では、「隠花の飾り」・
「影の車」・「黒の図説」・「死の枝」や「絢爛たる流離」・「大奥婦女記」などが上げられ
シリーズ作品検索で網羅的に紹介している。
個別に考察してみても特徴的なことは分からないが、ここに改めて取り上げた【草の径】は、作品を紹介していく中で幾つかの疑問に突き当たりました。発表された順に、その経緯を見てみます。
※①月刊文藝春秋⇒②【草の径】(単行本/1991年8月)⇒③松本清張全集66(1996年3月:左から右の順で出版されています。
 発表雑誌  ①月刊 文藝春秋●1990年月刊文藝春秋で連載開始  ②【草の径】(文藝春秋)  松本清張全集66(短編6)
 作品名 (連載時はシリーズ【草の径】ではない。
●全8話(月刊文藝春秋への発表順)
1.削除の復元(1990年1月号)
2.ネッカー川の影(1990年4月号)
3.死者の眼の犯人像(改題=死者の網膜犯人像)(1990年5月号)
4.「隠り人」日記抄(1990年6月号)
5.モーツアルトの伯楽(1990年8月号)
6.無限の渦巻文様(改題=呪術の渦巻文様)(1990年9月号)
7.老公((1990年12月号~1991年1月号)
8.夜が怕い(1991年2月号)

※1989年6月11日から連作短篇「草の径」取材のため
ヨーロッパ取材旅行。アイルランド、オランダ、
オーストリア、ドイツを歴訪し、25日帰国した。

●清張略歴には、上記のように記述があるが、翌年
(1990年)の1月から月刊文藝春秋の連載が「削除の復元」
が始まっている。
私は、「削除の復元」が、【草の径】の第一話であると勘違いしていた。4月から始まった、「ネッカー川の影」からの連載が
シリーズ作品【草の径】に決まっていたようだ。
第一話『ネッカー川の影』
第二話『死者の網膜犯人像』
第三話『「隠り人」日記抄』
第四話『モーツアルトの伯楽』
第五話『呪術の渦巻き文様」
第六話『老公』
第七話『夜が怕い』

※「削除の復元」は、集録されていない

※1991年8月1日単行本として出版
1.老公
2.モーツアルトの伯楽
3.死者の網膜犯人像
4.ネッカー川の影
5.「隠り人」日記抄
6.呪術の渦巻文様
7.夜が怕い


※全集には、
「削除の復元」は、単独で収録
全集は、1996年3月30日に出版されている。なぜか、単行本の【草の径】とは作品の順番が違っている。


清張の作品は、最初から単行本として出版されるのが極端に少ない。ほとんどが、週刊誌や月刊誌で発表され、後に単行本として出版されることが多い。「書き下ろし」としては、「黒血の旋舞」くらいしか思い浮かばない。
シリーズ作品だから、短編の集合で、作品には、それなりの関連性ありそうだが、改めてみるとそうでもない。
絢爛たる流離】のように、ある意味続き物で、登場人物も連続して登場する。この作品はむしろ特別である。
短編だけではない。長編もシリーズ作品として登場する。(【歌のない歌集】・【禁忌の連歌】・【黒の線刻画】/中編も含む)
【別冊黒い画集】は、ほとんど中編の作品です。
統一性がありません。
このテーマで書き始めた時は、シリーズ作品は、単行本で出版する時、タイトルを決めたのではないかと思っていた。
実態は、タイトルを決めて、シリーズ作品としてまとめている。
紛らわしかったのは、【草の径】は、月刊文藝春秋に連載が始まったのだが、1月から「削除の復元」がスタートしている。
この作品を、シリーズ作品の第一話と早とちりしていた。(このホームページでも、そのように取り扱っていた:訂正した)
実際はシリーズ作品は、4月から始まった「ネッカー川の影」が、第一話だった。

最初から、シリーズ作品と銘打って連載が始まる場合は、当然シリーズ作品名発表されている、【草の径】は、最初からシリーズ作品としてテーマも決まっているらしく、そのための取材旅行もしている。
取材日記が残されていた。松本清張研「第三号(2002年)」に、掲載されている。(ヨーロッパ『草の径』取材日記)

取材旅行は海外で、「ネッカー川の影」・「モーツアルトの伯楽」に結実しているようだ。
ただ、③松本清張全集66(1996年3月30日出版)で順番が変わっている。清張の死亡後の出版なので、清張の考え方とは思えない。
だったら、何の為の順番変更なのだろうか?
シリーズ作品で、全ての作品の紹介が終わった場合、「作品紹介完結に当たって」で、それぞれの疑問を書いている。
参考にしていただきたい。(「作品紹介完結に当たって」の例:【影の車】)

精査した訳ではないが、「週刊朝日」に多くの連載がなされ、シリーズ作品が登場する。
黒の図説】・【黒い画集】・【黒の様式】 感覚的には「週刊朝日」が多いと思っていたが、特別多い訳ではないようだ。
月刊誌では、【隠花の飾り】【死の枝】(小説新潮)・【影の車】【絢爛たる流離】(婦人公論)・【彩色江戸切り絵図】【私説・日本合戦譚】(オール讀物)
紅刷り江戸噂】(小説現代)新潮)

シリーズ作品は、名前もそれらしいものが多い。連作を想像することができる。【絢爛たる流離】・【黒い画集】や【死の枝】は、代表的な
作品と言える。
しかし、【草の径】は、その名からは想像も付かない。作品の内容も多彩であり、統一性が感じられない。取材旅行の成果と言うべき作品が登場しているが、一部にすぎない。
むしろ、シリーズ作品としてのタイトルが、小説のタイトルではないかと思えるものさえある。
【影の車】・【隠花の飾り】・【黒の線刻画】は、意味深なタイトルとして通用すると思う。
  清張作品の 題名に関する一考察   清張作品の 題名に関する一考察 が、参考になると思う。


2025年08月21日登録


ページのTOP