研究室_蛇足的研究
2021年12月21日 |
清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!
研究作品 No_124 【考える葉】 〔週刊読売〕 1960年(昭和35年)6月3日号〜1961年(昭和36年)2月19日号 |
その男は銀座を歩いていた。彼は、三十五六ぐらいに見えた。大きな男で、体格がいい。薄ら寒い宵だが、オーバーも何もなかった。くたびれた洋服を着、踵の減った靴をはいていた。ネクタイは手垢で光り、よじれていた。だが、彼は、伸びた髪をもつらせ、昂然と歩いていた。すれ違った者が思わず顔をしかめたのは、その男の吐く息がひどく酒臭かったからだ。夜の八時ごろというと、銀座は人の出の盛りである。四丁目の交差点から新橋側に歩き、さらに最初の区画を右にはいると、高価な商品を売ることで名の高い商店街がある。どの店もしゃれた商品をならべ、通行人の眼をウィンドーの前にひいていた。品もいいが、溜息が出るほど高い正札がついいていた。この通りをどこでもいいが、左に曲がっても右に曲がっても、夜の銀座の中ではいちばん人の歩きが多かった。 |
正体不明の男が銀座を歩いている。 人品卑しからずとはいかない男のようである。 >四丁目の交差点から新橋側に歩き、さらに最初の区画を右にはいると、高価な商品を売ることで名の高い商店街がある。 記述通りに進むと、中央通り(銀座通り)を新橋方向に歩き、最初の区画を右となると、銀座5丁目の交差点右に進んだようだ。 当時、「高価な商品を売ることで名の高い商店街がある。」と書かれているが、私は知らない。 方向的には、交詢社ビルがある、交詢社通りの方角である。 何が起きるか見当も付かない。 「銀座」がキーワードの作品は結構ある。【検索キーワードに見る清張作品の傾向と対策(その十一「銀座」)】 一言で「銀座」と言っても、次に「裏」と続けば、銀座裏で途端に華やかな世界の裏側を垣間見ることになる。 この作品(考える葉)では、正面から「銀座」を描写している。ただ、登場人物が怪しい。 ※銀座も当時とは様変わりしているだろう。地図は、最近のものです。(2021年11月頃) |