松本清張_破談異変

題名 破談異変
読み ハダンイヘン 
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張短編全集7 鬼畜【蔵書No0197】
出版社 (株)光文社
本のサイズ 新書(KAPPANOVELS)
初版&購入版.年月日 1964/06/20●11版1968/05/20
価格 350/古本 300(税5%込み)+送料340
発表雑誌/発表場所 「小説公園」
作品発表 年月日 1956年(昭和31年)2月号
コードNo 19560200-00000000
書き出し 〜ただ草枕とおぼしめせ。しかもこよいは照りもせず、曇りもやらぬ春の夜の、おぼろ月よにしく物もなきあまのとま。やしまにたてる高松の、苫の筵はいたわしや−−−。江戸城中、二の丸殿にしつらえた舞台では、京より四座の能役者を呼びくだして、舞わせていた。寛永八年の春のことである。曲は家光の好きな”八嶋”であった。家光は正面の座から身体を前に乗りだすようにしてみていた。左右には酒井忠勝、松平信綱、堀田正盛、安倍正次、安倍忠秋などの老臣が居ながれている。少しはなれて奥女中どもが花のようにかたまって見物していた。家光と不仲な御台所は微恙を言いたてて今日は顔を見せなかった。そのかわり、女たちの中央に六十近い老婆がすわった。白い髪と深い皺はあるが、眼は男のように勝気に光っている。家光は乳人春日局であることは一眼で知れた。
作品分類 小説(短編・時代) 18P×590=10620
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