題名 | 通訳 | |
読み | ツウヤク | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 松本清張短編全集4 殺意■【蔵書No0196】 | |
出版社 | (株)光文社 | |
本のサイズ | 新書(KAPPANOVELS) | |
初版&購入版.年月日 | 1964/01/15●3版2002/10/25 没後10年記念企画復古新版 | |
価格 | 848+税(5%)/古本 300(税5%込み)+送料340 | |
発表雑誌/発表場所 | 「週刊朝日別冊」新春お楽しみ読本 | |
作品発表 年月日 | 1956年(昭和31年)12月号 | |
コードNo | 19561200-00000000 | |
書き出し | 八代将軍の吉宗には、二人の男の子があった。長福丸といった家重、小次郎といった宗武である。四歳上の兄の家重は、世嗣ぎとして、正徳十年六月、西の丸にはいった。家重は、小さい時からひどい吃りであった。一つの言葉が容易に口から出ない。顔を真っ赤にして喘いだ。あ、あ、あ、という声が出るまでは、無言の苦悶がしばらくつづいた。この苦行に、聞いている家来の方が、おかしいやら気の毒やらで、正面向いて見ていられない。たいていは半分ばかり聞いたら、あとは察して適当な返事なり相槌を打った。だいいち、聞くほうが、心が急いているときには、言葉の終わりまで待っていられない。−−−それほどに家重の吃りはひどいものだった。家重自身も、己の吃りを非常に苦にした。それは話が容易にできないという苦痛のうえに、他人からいつも侮られているのではないかという心の怯えが加わった。ことに彼のような地位にいて、いつも尊厳を心がけなければならない者には、大きな劣弱意識になった。 | |
作品分類 | 小説(短編・時代) | 19P×510=9690 |
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