松本清張_背伸び

題名 背伸び
読み セノビ
原題/改題/副題/備考  
本の題名 奥羽の二人【蔵書No0140】
出版社 (株)講談社
本のサイズ 文庫(講談社文庫)
初版&購入版.年月日 1986/11/15●23版2002/12/16
価格 495+税(5%)
発表雑誌/発表場所 「週刊朝日別冊」傑作時代小説集
作品発表 年月日 1957年(昭和32)2月号
コードNo 19570200-00000000
書き出し 安芸の国安佐郡銀山の城は、代々、甲斐の武田氏の一族が城主であったが、大内義隆の勃興とともに滅亡してしまった。その遺族のなかに、竹若という者がいた。彼は十一歳で京に出て、東福寺の僧となった。この頃は、武人で望みを絶てば、僧籍に入って出世するほかない。竹若は幼少から怜悧であった。それに世に出たい欲望があった。僧になってから順蔵主と称した。「慧弁にして学を好み預かる才あり、博読暗桶衆に超ゆ」とあるから、かなりの才能であった。それに努力があった。何としても偉くなりたい。禅僧として一流になれば、当時の武将の間で尊敬せられた。彼の希望は、その一流にのし上がることであった。彼は己の才能を信じていた。その自信が努力を駆り立てた。愉しい努力である。順蔵主は累進して長老となり、名を恵警と改めた。南禅寺に移って禄司となった。もはや、当初の望みの半分は達せられた。
作品分類 小説(短編・時代) 22P×540=9900
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