(原題=脅喝者)
題名 | 恐喝者 | |
読み | キョウカツシャ | |
原題/改題/副題/備考 | (原題=脅喝者) | |
本の題名 | 共犯者■【蔵書No0135】 | |
出版社 | (株)新潮社 | |
本のサイズ | 文庫(新潮文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1980/05/25●51版2002/06/05 | |
価格 | 514+税(5%) | |
発表雑誌/発表場所 | 「オール讀物」 | |
作品発表 年月日 | 1954年(昭和29年)9月号 | |
コードNo | 19540900-00000000 | |
書き出し | 雨は三日間降りつづいて一日晴れた。その夜半からまた降りだした。朝はさほどのことはなかったが、十時過ぎから眼もあけられぬような土砂降りとなった。雨という感じではなく、水がじかに地軸を狂暴に殴るのだ。すさまじい音である。水煙が立ちこめ視界がきかなかった。墨をうつしたような雲で、薄暮のように暗かった。あとで調べてみて、この一日の降雨量が六〇〇ミリあった。東京地方の年間の平均降雨量は約一、五〇〇ミリだから、一年じゅうの三分の一以上の雨量が一日に降ったことになる。人間は家の中に小さくなり、声をのんで、飛瀑のような雨を眺めた。恐怖は当たった。この雨が、福岡、熊本、佐賀等の九州各県にわたって死者六六〇名、行方不明一、〇〇〇名、家屋の全壊流失六、〇〇〇を出したのである。午前十一時ごろ、筑後川は危険水位を突破した。赤い色をした奔流は両岸の堤防の高さいっぱいに満々とみなぎって押し流れていく。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 35P×560=19600 |
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