発作(完成登録:1057

題名B 発作
読み ホッサ
原題/改題/副題/備考 【重復】〔(株)文藝春秋=松本清張全集37〕
【重復】〔(株)新潮社=共犯者(新潮文庫)〕
本の題名 潜在光景【蔵書No0212】
出版社 (株)角川書店
初版&購入版.年月日 文庫(角川ホラー文庫)
価格 1994/10/10●初版
  500/古本349=(1+送料340)
発表雑誌/発表場所 「新潮」
作品発表 年月日 1957年(昭和32年)9月号
コードNo 19570900-00000000
書き出し 田杉は十時すぎて眼をさました。暖かいと思ったら、カーテンの合せ目の隙から射した陽が首の上まで来ていた。今日も暑そうな天気であった。六畳一部屋が、本だの古新聞だの茶碗だの果物の皮だので、足の踏み場がなかった。田杉は、便所に行くためドアをあけると、挟んであった新聞がばさりと落ちた。その下に白い封筒がのぞいて見えた。上書きの字だけで、どこから来たか一目でわかった。朝のながい小便をしながら、読まないでも知れている手紙の内容のことをぼんやり思った。廊下では、掃除しているよその部屋の女房が、歩いている田杉のだらしない恰好を、斜めに見送った。田杉は新聞を拾い上げて、もう一度床の中に寝転がると丹念に読み出した。べつに興味はなかった。興味がないから裏表を二度繰りかえして読んだ。頭に何も残らないのだ。それからようやく封筒を指につまんだ。
作品分類 小説(短編)
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