松本清張_箱根心中

題名A 箱根心中
読み ハコネシンジュウ
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集36〕
本の題名 松本清張短編全集4 殺意【蔵書No0196】
出版社 (株)光文社
本のサイズ 新書(KAPPANOVELS)
初版&購入版.年月日 1964/01/15●3版2002/10/25 没後10年記念企画復古新版
価格 848+税(5%)/古本 300(税5%込み)+送料340
発表雑誌/発表場所 「婦人朝日」
作品発表 年月日 1956年(昭和31年)5月号
コードNo 19560500-00000000
書き出し 八時十分すぎに、中畑健吉は新宿駅の東口にきた。地下道を上がって、改札口の正面が待合わせ人たちの溜まり場のようになっているが、このような朝でも三人か四人がたたずんでいた。夜とちがって、その辺の空気が寒々としていた。やはり、喜玖子の姿はまだ見えなかった。予想したとおりだが、来る、という自信はあった。健吉は小田急の窓口に行って”特急”の切符を二枚求めた。九時の発車の分だった。ふだんの日だが、その日の切符が手にはいるのは珍しい。季節はずれのせいである。そこに突っ立っているのもてれくさいので、健吉は公衆電話室の方へ行ってみたり、二幸側の方をぶらぶらしてみたが、八時三十分になっても、喜玖子は姿を見せなかった。三日前、短い時間に忙しく約束したので、あるいは小田急の駅と間違えているかもしれない。そんなはずはないのだが、ふとそういう錯覚が起こってくるのは健吉の不安である。
作品分類 小説(短編)
検索キーワード