(原題=明治忠臣蔵譚)
題名A | 明治金沢事件 |
読み | メイジカナザワジケン |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集36〕 (原題=明治忠臣蔵譚) |
本の題名 | 増上寺刃傷■【蔵書No0195】 |
出版社 | (株)講談社 |
本のサイズ | 文庫(講談社文庫) |
初版&購入版.年月日 | 2003/01/15●1987年1月に収録されたもをあらたに大活字、新装版として刊行 |
価格 | 619+税(5%) |
発表雑誌/発表場所 | 「サンデー毎日」新春読物小説号 |
作品発表 年月日 | 1956年(昭和31年)1月号 |
コードNo | 19560100-00000000 |
書き出し | 明治二年八月七日、朝四ツ時(午前十時)、金沢藩執政本多政均が藩庁に登城した。金沢藩とは加賀藩のことで、世が明治と改まってその名になった。藩主は藩知事となり、上席家老は執政と名が変わった。だから本多政均は加賀藩の家老で、而も五万石の大身であった。五万石といえば、大名並の禄高である。名に聞こえた百万石の前田家だから、家臣で一万石以上が八家もあった。本多はその筆頭だから、官位も従五位下播磨守を叙爵され、藩中の権勢第一であった。政均は三十二歳の壮年で、眼が大きく赭ら顔で、いかにも精力的な体格をしている。朝の暑い照りつけの中を登城してきたので、駕籠から出て式台に上ると、汗が首筋から胸元に流れていた。「暑い」と呟いて手拭きで汗を押さえると、藩庁となっている二の丸の廊下を奥に歩き出した。途中で出会う者は廊下の端によけて迎える。 |
作品分類 | 小説(短編) |
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