題名A | 奉公人組 |
読み | ホウコウニングミ |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集35〕 |
本の題名 | 増上寺刃傷■【蔵書No0195】 |
出版社 | (株)講談社 |
本のサイズ | 文庫(講談社文庫) |
初版&購入版.年月日 | 2003/01/15●1987年1月に収録されたもをあらたに大活字、新装版として刊行 |
価格 | 619+税(5%) |
発表雑誌/発表場所 | 「別冊文藝春秋」49号 |
作品発表 年月日 | 1955年(昭和30年)12月号 |
コードNo | 19551200-00000000 |
書き出し | 慶長年間のことである。武蔵国大鳥在の百姓の倅で一兵衛という者がいた。年十七,八で六尺近い背があり、二十貫をこえる大男であった。筋肉がもり上って強い力がある。三浦浄心の形容に従えば、「よの男に一かさ増して足の筋肉あらあらとたくましうして、仁王を作り損じたる形体」だったそうである。十九の時に一兵衛は故郷を捨てた。彼のような人なみより大きな体格をもち、膂力のある者は鍬鍬をもって土に塗れながら生涯を終わる気がしない。何となく他国の夢が面白そうだ。まして戦国の余塵がまだおさまらぬ世である。彼は侍になりたいと思った。一兵衛は江戸に出て武家奉公をした。江戸は家康が天正十八年に開府して以来二十年近い。慶長八年の江戸城の修築完成を境として京や大坂の殷盛を奪い取ったかたちである。大名小路には諸大名の第邸が立ちならび、浅草の南から神田、浜町、日本橋から新橋、芝口辺までを埋立てた下町も諸国より集まった人間で繁昌をきわめている。 |
作品分類 | 小説(短編・時代) |
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