題名A | 笛壺 |
読み | フエツボ |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集35〕 |
本の題名 | 松本清張短編全集4 殺意■【蔵書No0196】 |
出版社 | (株)光文社 |
本のサイズ | 新書(KAPPANOVELS) |
初版&購入版.年月日 | 1964/01/15●3版2002/10/25 没後10年記念企画復古新版 |
価格 | 848+税(5%)/古本 300(税5%込み)+送料340 |
発表雑誌/発表場所 | 「文藝春秋」 |
作品発表 年月日 | 1955年(昭和30年)6月号 |
コードNo | 19550600-00000000 |
書き出し | 案内記によると、土地に出来たそば粉を武蔵野の湧水で打ったのが昔からの名物だそうであるが、このそば屋は家の構えの貧弱なこと田舎のうどん屋と異なることがない。俺は寺に行きがけに「御宿泊」という看板も読んでおいたから、薄暗い電燈の下でそばを二杯たべ終わると、どうだね泊めてくれるかね、ときいたら五〇くらいの背の低い女房がじろりと俺の風采と老体を改めてみて、へえ、よろしゅうございます、とあまり弾まない声で答えた。四畳半の二階に通されたが、想像した通り、畳は赤茶けて足の裏にしめっぽいし、天井は黒くなって低い。古くて家がいびつになっているとみえ建具が合っていない。窓の障子をあけるのにも二,三回ひっかかった。外はすっかり暗い夜になっているが、真黒い杉木立の間から星のない空の色がわずかに見える。桜が終わりだというのに肌寒い。東京より二度は低いようだ。木立の匂いがする。 |
作品分類 | 小説(短編) |
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