題名 | 津ノ国屋 | |
読み | ツノクニヤ | |
原題/改題/副題/備考 | ||
本の題名 | 延命の負債■【蔵書No0017】 | |
出版社 | (株)角川書店 | |
本のサイズ | 文庫(角川文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1987/06/25●初版 | |
価格 | 380 | |
発表雑誌/発表場所 | 「小説中央公論」 | |
作品発表 年月日 | 1960年(昭和35年)10月号 | |
コードNo | 19601000-00000000 | |
書き出し | 今年の夏、私は用事があって、三重県の鈴鹿市という所に行った。鈴鹿市というと、鈴鹿峠を思い出すが、実は、市の中核は神戸町である。神部といってもぴんと来ない人は、講談の荒神山の神戸長吉の居たところだというと、誰でもうなずく。私を案内してくれた市の吏員は、時間があったので、その間に、白子に案内するという。そこは京染や江戸小紋の紙型を作る職人の町だった。いわゆる伊勢の紙型の生産地である。私は、この紙型の名前を聞いていたので、ぜひ見たいと思っていた。暑い盛りだったが、車で海岸沿いの白子町を訪れた。そこは、町全体がほとんど紙型関係の職業で占められていて、いわば職人の町であった。紙型は、繊細な技術を要する。日本紙に渋を引いた紙に図案を当て、小さなノミで、一つ一つ点を彫ってゆくのだ。これは無形文化財になっていて、現在、五人の老職人が「人間国宝」となっている。私を連れて行ってくれたのは、その一人の家であった。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 21P×600=12600 |
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