題名 | 湖畔の人 | |
読み | コハンノヒト | |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集35〕 | |
本の題名 | 延命の負債■【蔵書No0017】 | |
出版社 | (株)角川書店 | |
本のサイズ | 文庫(角川文庫) | |
初版&購入版.年月日 | 1987/06/25●初版 | |
価格 | 380 | |
発表雑誌/発表場所 | 「別冊文藝春秋」38号 | |
作品発表 年月日 | 1954年(昭和29年)2月 | |
コードNo | 19540200-00000000 | |
書き出し | 矢上は四十九になった。停年にあと六年である。今の新聞社では十五年勤めてきた。矢上の髪の半分は白髪となった。白と黒とがいりまじって、きたならしい灰色の頭となっている。その、ばさばさに乾いた髪の下に、誰からでも五十を出たと見られる顔の皺があった。矢上の転勤が暮れになって決まった。信州の上諏訪の通信局の主任になるのである。見栄も体裁もなかった。そんなものはとっくに捨てていた。今さら、何を考えよう、心が動けば、どこへでも行くという気持ちだった。転勤をすすめたのは、昔は彼と同輩の男だった。その男の方はそういう人事の出来る地位になっていた。矢上は、それまで社屋でもあまり採光のよくない部屋に座って、見立たない興味のない仕事で一日を送っていた。派手で激しい新聞社の本流から外れて、片隅に押しやられた仕事であった。 | |
作品分類 | 小説(短編) | 26P×600=15600 |
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