松本清張_九十九里浜

題名 九十九里浜
読み クジュウクリハマ
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集36〕
本の題名 延命の負債【蔵書No0017】
出版社 (株)角川書店
本のサイズ 文庫(角川文庫)
初版&購入版.年月日 1987/06/25●初版
価格 380
発表雑誌/発表場所 「新潮」
作品発表 年月日 1956年(昭和31年)9月号
コードNo 19560900-00000000
書き出し 古月は、夏のある日千葉県九十九里浜町片貝、前原岩太郎という差出人の一通の封書をうけ取った。この地名にも名前にも、古月は一向に心当りがなかった。封を破って、きちんと折られた便箋をひろげてみると、わりに整った文字が、三枚にわたって書き込まれてあった。が、几帳面な字の割に誤字が多いのと、ペン先が悪いのか、字画が引っ掻いたように所々かすれていた。あまりうまいとはいえない。書簡文範例といったたぐいから応用したような美辞麗句がちぐはぐにうめ込まれたその文章は、読んでみると、大体こういうことであった。たいへん暑くなったという時候の挨拶と、突然お手紙をさし上げてすまないということを謝した後、さて無躾なきき方であるが、貴殿はもしや古月貞治氏の息子さんではないか、同氏は今から四十三年前まではたしかに広島に居られた人である。古月という姓は珍しい上に、試みに文化人名簿を調べてみると、貴殿の出身地が広島県となっている。それで斯くおたずねする次第である、というのが前半だった。
作品分類 小説(短編) 21P×600=12600
検索キーワード 九十九里片貝・異母姉・大網・望洋館