松本清張_不運な名前(藤田組贋札事件)

(株)文藝春秋=松本清張全集66

題名A 不運な名前(藤田組贋札事件)
読み フウンナナマエ(フジタグミガンサツジケン)
原題/改題/副題/備考 【重複】〔(株)文藝春秋=疑惑〕
本の題名 松本清張全集 66 老公 短篇6【蔵書No0233】
出版社 文藝春秋(株)
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1996/03/30●初版
価格 1631円税込み:中古/アマゾン
発表雑誌/発表場所 「オール讀物」
作品発表 年月日 1981年(昭和56年)2月号
コードNo 19810200-00000000
書き出し 三月末の或る雨の日、安田は岩見沢の駅で降りた。昨夜泊まった札幌を今朝早く発ったので、着いたのが午前十時ごろだった。手提鞄一つを持ち、タクシー発着場にならんで三十分くらい待った。雨降りのため客の列が長い、安田は肌寒いなかで駅前商店街の雨で暗い風景を眺めていた。岩見沢は前に旭川へ行くとき通過したことはあるが、降りたのは初めてであった。ようやく順番がきて、走り戻ったタクシーに歩み寄った。雨滴が首筋に冷たかった。行き先の月形町の名を云うと、運転手はアクセルを踏んだ。方角は西だった。ヒーターの暖気と雨で白く曇った窓に朦朧とした町なかが過ぎると、広い田園についた直線道路が流れてきた。フロントガラスをワイパーが拭いた透明な扇形の中に、耕された冬枯れの原野がどこまでも続くが、山らしいものはまだ見えなかった。地図では丘陵の裾が目的地であった。
作品分類 小説(中編)
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