題名A | 甲府在番 |
読み | コウフザイバン |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集36〕 |
本の題名 | 松本清張短編全集7 鬼畜■【蔵書No0197】 |
出版社 | (株)光文社 |
本のサイズ | 新書(KAPPANOVELS) |
初版&購入版.年月日 | 1964/06/20●11版1968/05/20 |
価格 | 350/古本 300(税5%込み)+送料340 |
発表雑誌/発表場所 | 「オール讀物」 |
作品発表 年月日 | 1957年(昭和32年)5月号 |
コードNo | 19570500-00000000 |
書き出し | 旗本小普請組二百五十石伊谷求馬は、兄伊織の病死のあとをうけて家督をついだ翌月、甲府勤番を命ぜられた。生前兄がその役だったのである。兄は身持ちが悪く、三年前に甲府勝手となった。甲斐国府中城すなわち甲府城を守護する役を甲府勤番というが、高三千石役料千石の支配の下に二百人以上の勤番が旗本小普請組から撰ばれて甲府に在住させられた。というと聞こえはよいが、じつは江戸で身持ちよろしからざる者を抜きだして左還したのである。体裁のよい一種の流謫である。これを甲府勝手という。ひとたび、甲府在番となると、いつまた呼びかえされるやら見当がつかない。生きて江戸の土を見ずに果てた者が多いのだ。どのような旗本の暴れん坊でも、甲府勝手ときくと顔色変えてふるえたものである。伊谷伊織は、いわゆる不行跡の廉によって甲府勝手となった。それから三年後に任地で死亡した。弟の求馬が無事に跡目を相続したのはよいが、兄の役まで引き継いでこのたび甲府勤番を命ぜられたのであった。 |
作品分類 | 小説(短編・時代) |
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