(別題=不信)
題名 | 武将不信 |
読み | ブショウフシン |
原題/改題/副題/備考 | 【重復】〔(株)文藝春秋=松本清張全集36〕 (別題=不信) |
本の題名 | 奥羽の二人■【蔵書No0140】 |
出版社 | (株)講談社 |
本のサイズ | 文庫(講談社文庫) |
初版&購入版.年月日 | 1986/11/15●23版2002/12/16 |
価格 | 495+税 |
発表雑誌/発表場所 | 「キング」 |
作品発表 年月日 | 1956年(昭和31年)12月号 |
コードNo | 19561200-00000000 |
書き出し | 羽州山形城主最上義光は、秀吉の存生中からしきりと家康に慇懃を通じていた。それも信長の死後、秀吉の全盛に向かっているころであるから、彼は家康のどこかに恃むところがあると見抜いていたのであろう。家康がまだ岡崎にいたころから、七寸八分の川原毛馬で、左右自在、出羽奥州無双の早馬の故に両国と名づけたのを贈った。家康は大そう喜んで、その馬を秘蔵して乗馬とした。それから、毎年、義光は家康に、奥羽の駿馬と鷹とを進上した。「貴下の御厚意はまことに御奇特である。今後とも変わらずに、懇ろに願いたい」家康は律儀に必ず自筆の礼状をくれた。秀吉の滅茶苦茶な文法と下手糞な文字の手紙からくらべると、家康の人柄をうつしたように書風も重厚で知性が匂った。義光は争乱の出羽国を斬り従えて一国の領主となったいわば辺土の武人である。中央の様子もよく分らからぬ北の国にあって、赤光のような秀吉に幻惑されずに、地道な家康に眼をつけた直感は、あとになって己れをいたく満足させた。 |
作品分類 | 小説(短編・時代) |
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