題名A | 疑惑 |
読み | ギワク |
原題/改題/副題/備考 | 【同姓同名】 【重複】〔(株)文藝春秋=松本清張全集36〕 |
本の題名 | 増上寺刃傷■【蔵書No0195】 |
出版社 | (株)講談社 |
本のサイズ | 文庫(講談社文庫) |
初版&購入版.年月日 | 2003/01/15●1987年1月に収録されたもをあらたに大活字、新装版として刊行 |
価格 | 619+税(5%) |
発表雑誌/発表場所 | 「サンデー毎日臨時増刊」 |
作品発表 年月日 | 1956年(昭和31年)7月号 |
コードNo | 19560700-00000000 |
書き出し | 伊田縫之助は、近ごろ妻の瑠美と浜村源兵衛との間に、疑惑を持つようになった。縫之助は添え番衆といって、大奥の雑事方を務める八十石の御家人である。浜村源兵衛も同役である。二人の間は、役目の上というだけで、さして親しくはない。ただ、家が隣りを二,三軒置くほど近かった。縫之助は源兵衛と親密ではないが、甥の三右衛門も妻の瑠美も、縫之助が伊田家に養子に来る前から源兵衛と親しかった。縫之助はこの家の婿となって、はじめて瑠美と源兵衛とが幼い時から友だちということを知った。それだけでは、縫之助の心に、鳥の胸毛一本ほどの重みにも感じられなかったが、この半年前に源兵衛は妻を喪った。それ以来、彼は屡々縫之助の屋敷に遊びに来るのである。縫之助の屋敷といっても、まだ五十を出たばかりの隠居の三右衛門が、赤ら顔をてかてかさせて達者であった。酒飲みだし、人が来るのを喜ぶ方なのである。 |
作品分類 | 小説(短編・時代) |
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