(原題=啾啾吟)
題名 | 啾々吟 | |
読み | シュウシュウギン | |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)新潮社=西郷札 傑作短編集(三)〕 (原題=啾啾吟) |
|
本の題名 | 松本清張全集 35 或る「小倉日記」伝・短編1■【蔵書No0106】 | |
出版社 | (株)文藝春秋 | |
本のサイズ | A5(普通) | |
初版&購入版.年月日 | 1972/02/20●初版 | |
価格 | 880 | |
発表雑誌/発表場所 | 「オール讀物」 | |
作品発表 年月日 | 1953年(昭和28年)3月号 | |
コードNo | 19530300-00000000 | |
書き出し | 予、松枝慶一郎は、弘化三年丙午八月十四日、肥前佐賀に於いて、鍋島藩家老の倅として出生した。この出生日は特に銘記せねばならぬ。奇しくも同じ日に同藩で予を加えて三人の男子が産まれたのである。一は主君、肥前守直正の嫡男淳一郎。一は二百俵三人扶持御徒衆石内勘右衛門の倅嘉門。「めでたい話じゃ。前世から主従の由縁が深いのであろう」と、当時、人は噂した。予の父は、こやつ若殿と同日に生まれるとは果報な奴じゃ、と喜び、意に因んで、慶一郎と名づけた。主君直正の耳にも入って、「両家とも子は丈夫か。大事にいたせ」と言葉があった。予と石内嘉門との因縁は、こうして生まれながらにして既に生じていたのだ。しかし初めて彼を見たのは十歳の時である。すなわち、大名の子、家老の子、軽輩の子と、それぞれ境遇は異うが、同日に生まれたこの三人は恙なく育ち、安政三年となった。 | |
作品分類 | 小説(短編・時代) | 20P×1000=20000 |
検索キーワード |