松本清張(1052)_黒い福音

題名 黒い福音
読み クロイフクイン
原題/改題/副題/備考  
本の題名 松本清張全集 13 黒い福音 アムステルダム運河殺人事件・セントアンドリュースの事件【蔵書No0091】
出版社 (株)文藝春秋
本のサイズ A5(普通)
初版&購入版.年月日 1972/02/20●初版
価格 880
発表雑誌/発表場所 「週刊コウロン」
作品発表 年月日 1959年(昭和34年)11月3日号〜1960年(昭和35年)6月7日号
コードNo 19591103-19600607
書き出し 東京の北郊を西に走る或る私鉄は二つの起点をもっている。この二つの線は、或る距離をおいて、ほぼ並行して、武蔵野を走っている。東京都の膨れ上がった人口は年々、郊外へ住宅を押し拡げてゆくから朝夕は乗客で混み合う。しかし、二つの線の中間地帯は、賑やかな街にもなりきれず、田園のままでもなく、中途半端な形態をとっている所が多い。この辺りになるとナラ、カエデ、クヌギ、カシなどの雑木林が到るところに残っている。旧い径は、その林の中に入っている。林の奥には農家の部落がひそんでいる。が、それについて行くと、部落の隣は、忽ち新しい住宅地に変わる。この辺は、古い武蔵野の田野と、新しい東京の部分とが、ちぐはぐに錯綜している地帯であった。夕方の景色は、田園調で美しい。広い畠と、その向こうに立っている林とが蒼褪めて黝み、端には白い夕靄がたつ。夕焼けの広大な雲を背景にして、教会の尖塔が黒い影絵になって見えるところなどは、その気持ちのないものでも、宗教的な詩心を起こす。
作品分類 小説(長編) 318P×1000=318000
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