題名A | 地方紙を買う女 |
読み | チホウシヲカウオンナ |
原題/改題/副題/備考 | 【重複】〔(株)光文社=青春彷徨〕 |
本の題名 | 松本清張全集 36 地方紙を買う女・短編2)■【蔵書No0086】 |
出版社 | (株)文藝春秋 |
本のサイズ | A5(普通) |
初版&購入版.年月日 | 1973/2/20●初版 |
価格 | 880 |
発表雑誌/発表場所 | 「小説新潮」 |
作品発表 年月日 | 1957年(昭和32年)4月号 |
コードNo | 19570400-00000000 |
書き出し | 潮田芳子は、甲信新聞社にあてて前金を送り、『甲信新聞』の購読を申しこんだ。この新聞社は東京から準急で二時間半くらいかかるK市にある。その県では有力な新聞らしいが、むろん、この地方紙の販売店は東京にはない。東京で読みたければ、直接購読者として、本社から郵送してもらうほかないのである。金を現金書留めにして送ったのが、二月二十一日であった。そのとき、金と一緒に同封した手紙には、彼女はこう書いた。−−貴紙を購読いたします。購読料を同封します。貴紙連載中の「野盗伝奇」という小説が面白そうですから、読んでみたいと思います。十九日付けの新聞からお送り下さい....。潮田芳子は、その『甲信新聞』を見たことがある。K市の駅前の、うら寂しい飲食店のなかであった。注文の中華そばができあがるまで、給仕女が、粗末な卓の上に置いていってくれたものだ。いかにも地方紙らしい、泥くさい活字の、ひなびた新聞であった。三の面は、この辺の出来事で埋まっていた。五戸を焼いた火事があった。村役場の吏員が六万円の公金を消費した。小学校の分校が新築された。県会議員の母が死んだ。そんなたぐいの記事である。 |
作品分類 | 小説(短編) |
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