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疑問 疑問疑問※「信玄軍記」と「信玄戦旗」

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  疑問  05

(細谷正充)
『松本清張を読む』

(佐藤泰正【編】)
「松本清張を読む」
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疑問  
同じ題名の本は珍しいことではないだろうか?
法律的な問題はないのだろうか?
そこで、「司馬遼太郎を読む」をキーワードに調べてみた。
●司馬遼太郎を読む 松本 健一
●司馬遼太郎を読む 中村 稔
それではと、「大江健三郎を読む」「村上春樹を読む」と調べてみたが、ズバリは無かった。
そんな中で
佐藤 泰正 (編集)で「三島由紀夫を読む」「太宰治を読む」「芥川龍之介を読む」
「夏目漱石を読む」吉本隆明を見つけることが出来た。
本のタイトルが同じであることは、問題なさそうである。

『松本清張を読む』はその取り上げ方も違うし、それぞれ面白かった。
細谷正充著の『松本清張を読む』は、作品紹介と言うべき内容で、「あらすじ」「読みどころ」
で、構成され、代表作が紹介されている。「張込み」から「砂の器」までのサブタイトル通りである。

佐藤泰正(編)の「松本清張を読む」は、章立てのテーマで各著者が文学的に研究発表的な記述になっている。
作品の紹介と言う要素はあまり無く、小説内容の背景、本文の検証など、まさに人間清張を読むと言った
感がする。

両方で取り上げられている「時間の習俗」について...
細谷正充著の『松本清張を読む』では、サブタイトルが、「ミステリー作品として完成度を高めた
「点と線」の姉妹編」。
佐藤泰正(編)の「松本清張を読む」では、松本常彦氏の大衆文学における本文研究として「時間の習俗」が、
取りあげられている。
「時間の習俗」は、旅行雑誌「旅」に連載された。
短期間に新書版、文庫版、単行本になったのだが、かなりの加筆や削除があったようだ。興味深い。

清張作品は、動機が最重要視されているが、両書に共通するのは動機の大雑把さの指摘である。
この指摘はうなずける。「点と線」の姉妹作品であるが為に、事件は関東と九州を結ぶ線上で展開される。
鳥飼刑事と三原警部(警部補)の登場でシリーズ化の狙いでもあったのか?(清張は2作目に意欲的?)
「点と線」のトリックに一定の批判(私は好意的に見ている)があったのを意識したのか、これでどうだ!と
世に問うた作品になっている。
言うなれば、トリック重視の作品である。このトリックも今では時代を感じさせる。

おなじ【松本清張を読む】でも切り口の違いで料理の出来上がりは違う。
私なりの、【松本清張を読む】でも書きたい気分だ。いつもの大言壮語でした。


『松本清張を読む』(細谷正充)




■2005/02/01●初版

はじめに

西郷札 作家デビューを果たした記念的作品

或る「小倉日記」伝 ジャーナリスティックなセンスを巧みに物語に取り込む

張り込み 小市民の日常をリアルに描いた傑作

点と線 日本の推理小説を塗り替えた記念すべき作品

眼の壁 ミステリーをエンタテイメント・ノベルの花形へ成長させる

無宿人別帳 本当の悪の在処を剔別した清張流江戸の悪

ゼロの焦点 ロマンティク・ミステリーの先駆的作品

かげろう絵図 時代小説に新機軸を打ち出した時代ミステリー

黒い画集 山岳ミステリーの先駆的作品

小説帝銀事件 ノンフイックションを書くきっかけを作る

霧の旗 特異な女性の魅力を描いた復讐譚

天城越え 少年の性の目覚めを活写

黒い福音 巧みな手法を駆使した倒叙ミステリー

球形の荒野 清張ブームを乗り越え、さらに成長した意欲作

砂の器 新旧の時代の相克を描いた清張作品の代表作

時間の習俗 ミステリー作品として完成度を高めた『点と線』の姉妹編

けものみち エロティシズムをグロテスクな形で表現

ガラスの城 大企業を舞台にリアルなミステリーを描く

神と野獣の日 人類破滅をテーマにしたSF

陸行水行 古代ロマンをかきたてる歴史推理

砂漠の塩 初めて海外を舞台にした”創作上の冒険”

中央流沙 官僚主義の弊害を描いた意欲作

黒の回廊 自分を愛してくれる読者に向けて書いた本格ミステリー

西街道談綺 日本の伝奇小説に独自の境地を示した大作

文豪 評伝小説を集めた文学ミステリー

火の路 考古学界を驚愕させた新聞小説

渡された場面 ”禁忌の連歌”の冒頭を飾る

渦 テーマへのこだわりを追求した社会派ミステリー

十万分の一の偶然 ”偶然”を”必然”として描く

神々の乱心 日本の歴史を塗り替える陰謀

松本清張略年譜

松本清張主要著作

主要参考文献




「松本清張を読む」(佐藤泰正【編】)



■2009/10/20●初版

解き明かせない悲劇の暗さ−−−松本清張「北の詩人」論ノート
 「天保図録」−−−漆黒の人間図鑑
 松本清張論−−−「天城越え」を手がかりに
 松本清張と「日本の黒い霧」
 松本清張の一面−−−初期作品を軸として
 清張の故郷−−−『半生の記』を中心に
 大衆文学における本文研究−−−「時間の習俗」を例に
 小倉時代の略年譜−−−松本清張のマグマ

 

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