研究室_蛇足的研究

紹介作品・研究室:完成登録

2024年10月21日


清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!




研究作品 No_160

(シリーズ作品/黒い画集:第五話)

七月二八日の午前十時ごろである。三人の少年が、多摩川の川原に跳ねるように走りおりた。二人はグローブを手にはめ、一人はバットを持っていた。堤防の上は、自動車が通れるくらいの道になっているが、ここから水の傍に行くには、ゆるい傾斜をおりて行かねばならない。●蔵書【松本清張全集 4】(黒い画集)文藝春秋社●「週刊朝日」1959年(昭和34年)6月14日〜8月30日
〔週刊朝日〕
1959年(昭和34年)6月14日号〜8月30日号


七月二八日の午前十時ごろである。三人の少年が、多摩川の川原に跳ねるように走りおりた。二人はグローブを手にはめ、一人はバットを持っていた。堤防の上は、自動車が通れるくらいの道になっているが、ここから水の傍に行くには、ゆるい傾斜をおりて行かねばならない。斜面は途中で、川原の砂利盗取防止のためワイヤーロープの網が張ってある。その下は、畑になったり、草むらになったりして、川幅は広いが、水は州にせかれながら、中央部を流れている。川の片側は、東京都世田谷区だが、向かい側は神奈川県になっていた。夏のことで、水は少なく、川原の雑草だけが生い茂っている。子供たちの遊び場には格好の場所だった。「おや、金網が切られているぞ」斜面をおりている少年が、走っている足を止めていった。「あれ、ほんとだ」二人の少年はそこに近づいて目を丸くした。砂利盗取防止のために張ったワイヤーの網が一メートルほどの幅、三メートルくらいの長さで切られている。切りは端の針金の先端が上にまくれあがっていた。
全集では三話だが、作品発表時(週刊朝日)では五話

三人の少年が何かを発見するのだろう。
恐らく死体だろう。
ここから事件は始まる。少年達は事件とは全く関係ないであろう、第一発見者という展開だろう。
書き出しだけでは、全く見当が付かない。