研究室_蛇足的研究

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2022年06月21日


清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!




研究作品 No_134
足袋
(シリーズ作品/隠花の飾り:第一話)

津田京子は、某流の謡曲の師匠であった。大久保のマンションに居る。弟子をとって謡や仕舞いを教えていた。女弟子が多いが、男弟子もあった。弟子たちはほとんど初心者のころから習っているが、四年も五年もつづけているものも少なくなかった。●蔵書【隠花の飾り】(株)新潮社●「小説新潮」1978年(昭和53年)1月号
〔小説新潮〕
1978年(昭和53年)1月号



津田京子は、某流の謡曲の師匠であった。大久保のマンションに居る。弟子をとって謡や仕舞いを教えていた。女弟子が多いが、男弟子もあった。弟子たちはほとんど初心者のころから習っているが、四年も五年もつづけているものも少なくなかった。京子は一週間に三回、午後と夜に稽古時間をつくっている。昼間はおもに女弟子、夜は勤め人や商店主の男弟子であった。三十八歳の、面長な、上背のある女だった。稽古の時間はもちろん和服だが、洋装も似合った。弟子に稽古をする以外週一回は、自分自身のために師匠の水野孝輔の稽古を受けに田園調布の家に行く。水野孝輔は家元に次ぐ某流の幹部で、六十三歳になる。彼女は二十年前に入門し、師匠の許可を得て七年前に初心者をおもに弟子をとるようになった。村井英男は四十二歳になる。ある商事会社の総務部長であった。三年前、その会社の女子社員たちのあいだに謡の同好会がつくられ、当時厚生部長だった彼が世話焼きをした。
シリーズ作品【隠花の飾り】第一話
書き出し部分だけで、「書道教授」を思い出した。
「書道教授」は、小説を読んだ記憶より、テレビドラマの印象が強く、「足袋」との共通点など特に浮かんだわけでは無かった。

津田京子の周りの人物が最初から登場する。
取り巻きの人物でもあるようだ。やはり、「津田京子」の容姿が気になるところだが、面長で、上背のある女とだけ表現されている。
京子を巡る男たちの話だろう。

『謡曲』でもう一つ思い出した。【絢爛たる流離】の「土俗玩具」に謡の師匠が登場する。

謡曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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謡曲(ようきょく)とは、能の詞章のこと。 演劇における脚本に相当する。
本来、「謡」と言われていたものが、大正・昭和初期から「謡曲」とも称するようになった。
謡曲は「謡の曲」という意味である。

あまり馴染みはない。
落語好きの私は、『寝床』を思い出し、「義太夫節」と「謡曲」の区別さえ分からない。