研究室_蛇足的研究
2022年04月21日 |
清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!
研究作品 No_132 【鉢植えを買う女】 (シリーズ作品/影の車:第七話) 〔婦人公論〕 1961年(昭和36年)1月号 |
上浜楢江は、A精密機械株式会社販売課に勤めてているが、女子社員としては最年長者である。彼女はまだ独身で、それに金を溜めていた。社員たちはこっそり高利で金を貸していた。上浜楢江がこの社に入社したのは、終戦直前だった。旧制の女学校を出て、すぐに就職したのだが、当時は男子が不足で、かなりの女子社員がどこの社でも採用されている。しかし、二、三年後、出征した社員がぼつぼつ帰社するようになってから、この社でも女子社員の整理問題が起こった。このとき残されたのは、上浜楢江ほか二人だった。三人ともタイピストだったためである。終戦後はどこの社にも民主化運動というのが起こり、男子社員も女子社員も給料の差別がなくなってしまった。爾来、ベースアップごとに、彼女ら三人は男子と同じ条件で昇給した。 |
●発表当時は、シリーズ作品【影の車】第七話だったが、全集収録は第四話で収録。 最年長で独身の女。お金を溜めている。 終戦前の話である。当然、男は兵隊に取られてる。そんなこともあり、婚期を逃したのだろうか。 戦後、男が職場復帰する中で彼女たちは整理の対象になったが、上浜楢江はタイピストでもあり整理を免れた。 彼女が主人公であるなら、金銭がらみのトラブルだろう。 高利でこっそりお金を貸している。お金を返せない男。よくあるパターンと言える。 |