研究室_蛇足的研究

紹介作品・研究室:完成登録

2018年11月21日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_089

 絢爛たる流離:第四話走路


研究発表=No 089

絢爛たる流離走路
 〔婦人公論:1963年(昭和38年)4月号〕

京城の部隊から新しく篠原憲作という主計大尉が、南朝鮮の沿岸防備師団司令部に赴任して来た。大尉はまだ三十三歳で、.... 【絢爛たる流離:走路】蔵書:松本清張全集 2 眼の壁・絢爛たる流離:婦人公論 1963年(昭和38年)4月号

京城の部隊から新しく篠原憲作という主計大尉が、南朝鮮の沿岸防備師団司令部に赴任して来た。大尉はまだ三十三歳で、南方の激戦地を歩いているうちにマラリヤに罹り、送還されて京城の陸軍病院に入っていたのである。それが快癒してこの野戦病院に転属となった。篠原主計大尉は、鈴木物産の社宅に間借りしたが、それは死んだ柳原高級参謀が借りていた伊原寿子の家ではなく、山田勝平という採金所の技師長の家だった。山田技師長はもうここに六年間も居すわっていて、夫婦の間に男の子が二人いる。篠原主計大尉はこの社宅から徒歩でてくてくと師団司令部に通う。この司令部は、農学校の校舎を接収しているので、教室がそのまま師団長室や、参謀室や、軍医部などに分かれていた。

登場人物は、篠原健作(主計大尉)。
柳原高級参謀(死亡)。山田勝平(採金所の技師長)。
伊原寿子は前作に続いて登場。
前作の「百済の草」から、舞台はあまり変わっていないようだ。
ただ、この作品で主役を務めるだろう篠原健作が、南方の激戦地からマラリヤで送還された事情
などから戦況は芳しくない様子が見て取れる。
戦争当時の、南朝鮮の状況は清張の過去の作品、
赤いくじ」(1955/05)・任務」(1955/12)・遠い接近」・(1971/08)に共通する。