研究室_蛇足的研究

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2017年9月21日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_080

 【日光中宮祠事件


研究発表=No 080

日光中宮祠事件 〔別冊週刊朝日 1958年4月号〕

この事件の小さい紹介は、警察図書の出版社から発行している雑誌「捜査研究」に掲載されている。私はこれを読んだとき興味をもった。。【松本清張全集 37 装飾評伝・短編3】より

この事件の小さい紹介は、警察図書の出版社から発行している雑誌「捜査研究」に掲載されている。私はこれを読んだとき興味をもった。いったい、この雑誌は月々一項はかならずこうした捜査ケースを載せているが、なかにはつまらないものがあるけれど、この事件だけはおもしろかった。筆者は東京近県の県警察本部刑事部長のK氏である。去年の晩秋、私はたまたま紹介する人があって当のK氏に会った。東京から電車で一時間とかからないでその県にはいるが、土地の古い料亭で、川魚料理をいっしょに食べながら話は聞いた。料亭の裏は釣堀になっていて、すでに寒そうな池の水にはいわし雲が映っている。掘をのぞきこんだ柿の枝には赤い実がついている。向こうの枯れた平野には家がまばらで、時おり、電車の音が聞こえてくるといった環境であった。

                   研究
雑誌「捜査研究」は、実際、東京法令出版で出版されている。
東京から電車で一時間とかからないでその県にはいるが...
題名が
「日光中宮祠事件」だから、栃木県日光市だろう。
清張氏得意の情景描写で、料亭の場所は具体的に特定できそうである。
もちろん、架空の設定かもしれないが、目に浮かぶ情景である。
題が○○事件で、警察関係の「捜査研究」なる雑誌が冒頭から出てくるので、まさに「事件」
なのだろう。

日光中宮祠事件は実際にあった事件なのだ。
ウィキペディアによると
>1946年5月4日未明、中禅寺湖畔・栃木県日光市中宮祠の旅館から出火し周囲を含めて
>6棟が全焼。
>旅館の焼け跡から経営者のH(当時46歳)と妻(同42歳)、Hの義父(同72歳)と
>Hの三男(同11歳)、次女(同8歳)、三女(同5歳)の6人の焼死体が発見された。
>6人が寝床に入ったままの状態で死亡していたばかりか後頭部を切られた跡があるなど、
>他殺と思われる不審な点もあったにも関わらず、日光警察署は無理心中と結論し
>被疑者死亡として捜査を打ち切った。
>しかし、事件の真相は当日投宿していた在日朝鮮人のAとBが帳場に盗みに入ったところを
>家族に発見されたため、
>旅館の台所にあった包丁で一家6人を刺殺、現金400円と小切手480円と背広などを
>奪い放火して逃亡したというものであった。

事件は、1946年5月4日未明。
松本清張は、『別冊週刊朝日』1958年4月号でこの事件を題材にした短編「日光中宮祠事件」を発表

日光中宮祠