研究室_蛇足的研究

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2016年01月21日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_070

 【西郷札


研究発表=No 070

【西郷札】 〔週刊朝日別冊/春季増刊号3〕 1951年3月15日号

去年の春、私のいる新聞社では『九州二千年文化史展』を企画した。秋には開催予定で早くからその準備にかかっていた 【松本清張全集 35 或る「小倉日記」伝・短編1】より

去年の春、私のいる新聞社では『九州二千年文化史展』を企画した。秋には開催予定で早くからその準備にかかっていた。私は一カ月間つづけて九州中をかけ廻り、大学の図書館や寺や古社、旧家をたずね出品資料の蒐集につとめた。成績はよい方で、長い出張が終わる頃には大体の目鼻をつけて帰ってきた。出品の中には国宝もあるし、いわゆる門外不出のかけ替えのない重要品もあるので、その取扱いや輸送に前もって万全の方法を講じねばならなかった。その計画のため概ね出品の決まったところで品目のあらましをリストに作ってみた。すると出来上がったその表を一瞥しただけで、予期以上の成果ということが分った。殊に切支丹物では今までにない逸品が見事にならんだ。「おい、これは何だ、西郷札とは何だ?」と突然若い部員がリストを見ていった。四,五人の目がそれを覗き込むと、そこには、
一,西郷札  二十点
一,覚書   一点  
としてあった。私にもそれは分からなかった。

                   研究
タイトルの「西郷札」とは、「サイゴウフダ」と読むのか、「サイゴウサツ」か?
「サイゴウサツ」と読むらしい。
※西郷札(さいごうさつ)とは、西南戦争中、西郷隆盛率いる西郷軍(薩軍)によって
  軍費調達のために発行された戦時証券、軍票である。


「おい、これは何だ、西郷札とは何だ?」
この物語は、「西郷札とは何だ?」から始まる。
書き出しは「私のいる新聞社では『九州二千年文化史展』を企画した。」で始まるが、
事実なのだろうか?。
清張デビュー作で、芥川賞受賞作だが純文学に属する作品なのか、推理小説としての
分野に属する作品なのか書き出しだけでは不明である。