研究
原題は「記憶」。改題して「火の記憶」。
『三田文学』1952年3月号に『記憶』のタイトルで掲載、のちに現在のタイトルに
改題・改稿の上、『小説公園』1953年10月号に再掲載。
頼子の結婚話。はじめから問題噴出の展開だ。
頼子の家庭は、父が死亡、兄が家長として振る舞っている。母の存在は不明。
結婚相手の高村泰雄の事情も複雑、母は死亡。父は行方不明(失踪宣告)
商売に失敗して家出、そのまま消息がないと頼子は聞いている。
泰雄が言いにくそうに云った。どうやら泰雄の家族(父)が伏線のようだ。
つかみはOK。
清張の「或る『小倉日記』伝」の前に書かれた作品である。
初期中の初期に書かれた作品だけに、清張作品の原点とも云える作品ではなかろうか?
「西郷札」「火の記憶」「或る『小倉日記』伝」は清張三部作とも言える。
|