研究
K・Mは医学博士で詩人。、小説.評論など多彩な活躍をしていた。南蛮文化の研究家でもあった。
田上耕作はK氏へ手紙に添えて原稿を送る。原稿の価値を問うのである。
K・M氏と鴎外の関係を知っているらしい。
書き出しで概ね内容が理解出来る。
もちろん、鴎外とは森鴎外である。
タイトルも「或る『小倉日記』伝」とあるように、小倉在住の田上耕作の話であろう。
「或る『小倉日記』伝」は芥川賞受賞作品(第28回、1952年下半期)である。ちなみに43歳での受賞。
最近お笑い芸人(ピース)の又吉直樹が、『火花』で第153回芥川賞を受賞した。
第28回芥川賞選考時の坂口安吾氏の批評を紹介しよう。(受賞作品:「或る『小倉日記』伝」について)
●「或る『小倉日記』伝」は、これまた文章甚だ老練、また正確で、静かでもある。
一見平板の如くでありながら造型力逞しく底に奔放達意の自在さを秘めた文章力であって、
小倉日記の追跡だからこのように静寂で感傷的だけれども、
この文章は実は殺人犯人をも追跡しうる自在な力があり……
坂口安吾氏の洞察力に驚かされる。
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