研究室_蛇足的研究

紹介作品・研究室の倉庫

2012年12月23日

清張作品の書き出し300文字前後で独善的研究!


研究作品 No_052

 【黒い福音


研究発表=No 052

【黒い福音】 〔週刊コウロン〕 1959年11月3日号

東京の北郊を西に走る或る私鉄は二つの起点をもっている。この二つの線は、或る距離をおいて、ほぼ並行して、武蔵野を走っている。 (株)文藝春秋●初版1972/02/20より

東京の北郊を西に走る或る私鉄は二つの起点をもっている。この二つの線は、或る距離をおいて、ほぼ並行して、武蔵野を走っている。東京都の膨れ上がった人口は年々、郊外へ住宅を押し拡げてゆくから朝夕は乗客で混み合う。しかし、二つの線の中間地帯は、賑やかな街にもなりきれず、田園のままでもなく、中途半端な形態をとっている所が多い。この辺りになるとナラ、カエデ、クヌギ、カシなどの雑木林が到るところに残っている。旧い径は、その林の中に入っている。林の奥には農家の部落がひそんでいる。が、それについて行くと、部落の隣は、忽ち新しい住宅地に変わる。この辺は、古い武蔵野の田野と、新しい東京の部分とが、ちぐはぐに錯綜している地帯であった。夕方の景色は、田園調で美しい。広い畠と、その向こうに立っている林とが蒼褪めて黝み、端には白い夕靄がたつ。夕焼けの広大な雲を背景にして、教会の尖塔が黒い影絵になって見えるところなどは、その気持ちのないものでも、宗教的な詩心を起こす。

                   研究
西武池袋線(池袋〜西武秩父)
西武新宿線(西武新宿〜本川越)

上石神井あたりか
環状八号線を越えるあたりと想像できる。駅で言えば石神井公園.上石神井
「夕方の景色は、田園調で美しい。」としているが、今とはかなりちがっているようだ。
「忽ち新しい住宅地に変わる。」
『教会の尖塔が黒い影絵になって見えるところなどは、その気持ちのないものでも、
宗教的な詩心を起こす。』


上石神井付近には教会が多い?


題名からして「教会」はキーワードのようだ。