研究
>一人の中年男がバスを安心院の町で降り、盆地の縁をなしている西の山の山麓に向かって
>歩いていた。風采は上がらない。
この人物が主人公であろう。
簡潔な文章で状況を説明する。目の前に広がる風景が手に取るように解る。
>芦村節子は、西の京で電車を下りた。ここに来るのも久し振りだった。ホームから見える薬師寺の三重の塔も懐かしい。
>塔の下の松林におだやかな秋の陽が落ちている。ホームを出ると、薬師寺までは一本道である。
>道の横に古道具屋と茶店をかねたような家があり、戸棚の中には古い瓦などを並べていた。
>節子が八年前に見たときと同じである。昨日、並べた通りの位置に、そのまま置いてあるような店だった。
>空は曇って、うすら寒い風が吹いていた。
以上は「球形の荒野」の書き出しである。情景描写が秀逸である。電車を降りて駅前の風景描写
そしてその前方を俯瞰する目線。
「陸行水行」はご存じ「魏志倭人伝」に登場する言葉である。
古代史研究家でもある清張があえて?「陸行水行」と題して書いた小説とは...
>西の山の山麓に向かって歩いていた。
その男は...ここまでで、読者を掴んでいる。
※宇佐神宮
宇佐神宮(うさじんぐう)は、大分県宇佐市にある神社である。全国四万四千社と称する八幡宮の
総本社である。式内社、旧官幣大社。正式名は宇佐神宮だが、宇佐八幡あるいは宇佐八幡宮とも
通称される。
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