研究
あまりに有名な作品のため、先入観なしに書き出しの文章だけで予見するのは難しい。
章立てになっている。「第一章 トリスバgazou/k1037_01.jpgる。
「トリスバー」は、当時はやりであったようだ。
昭和30年(1955年)前後に生まれ、爆発的な人気を呼んだ
庶民的なバー。トリスウイスキーをソーダで割ったハイボールが
主力製品でしたが、カクテル類も人気がありました。
サラリーマンや大学生が気軽に訪れ、グラスを傾けながら
民主主義を語り、文学・芸術を語り、人生・恋愛を語る舞台であり、
新しいライフスタイルを象徴する場でもありました。
トリスのハイボールは大阪では「トリハイ」、東京では
「Tハイ」という愛称で呼ばれました。
書き出しは、国電蒲田駅付近「トリスバー」の店内を淡々と描いている
だけである。
作品の書き出しとしては比較的珍しいのではないだろうか?
狭い場所を、情景描写として何の飾りもなしに、具体的に描き出している。
問題はこれからである。
皆さんご存じの通り。そこで交わされる客の会話「●●●は今も相変わらずでしょうね」
会話の部分は、書き出し300文字前後を完全に過ぎています。
(蛇足的独断)
小説を読んだ後、映画を見ました。
映画を見た後、再度読み返したのですが、映像の強烈な印象は小説の中での想像力を
吹き飛ばしてしまいます。
『砂の器』は、数ある映画化、TVドラマ化された清張作品のナンバーワンでしょう。
いつもは、がっかりさせられる映画化、TVドラマ化ですが...
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