研究室_蛇足的研究

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2004年05月23日

「清張」作品の書き出し300文字前後で独善的研究!。


研究作品 No_019

 【春田氏の講演


研究発表=No 019

【春田氏の講演】1963年 「週刊女性」

春田令吉は評論家である。近ごろは評論家という名前がやたらとふえたが、春田令吉はもう二十年前から、この名前を頂戴している。......◎蔵書◎失踪の果て「春田氏の講演」(角川文庫)(株)角川書店 ●1985/11/10(再版)より

春田令吉は評論家である。近ごろは評論家という名前がやたらとふえたが、春田令吉はもう二十年前から、この名前を頂戴している。彼を呼ぶのに教育評論家というものもあるし、社会評論家というのもいる。雑誌によっては、といっても婦人雑誌が主だが、そのときどきによって肩書きが違ってくる。彼は雑誌や新聞の人生相談欄の担当もしているから、そういう意味では社会評論家かもしれない。しかし、子供のしつけとか、若い学生の、性の問題とかも書くから、教育評論家ともいえる。まあ、両方を合わせた評論家と思えば間違いない。春田令吉は筆も達者だが、むしろ講演のほうが得意である。実際、彼は年じゅう日本各地を回って講演をしている。その集まりは多く婦人層が対象となっている。彼の講演を聴いた人の感想によると、人生の機微をよく心得た話で、たとえば大学教授のような抽象的な高遠なそれと違い、きわめて具体的で合点がいくそうである。

研究

清張は評論家には懐疑的であるようだ。大学教授の講演を抽象的で高遠として例に出す。それに引き替え、春田令吉の講演を「具体的で合点がいく」としてる。彼の講演を引き立てる。春田氏のことを「筆も達者だが、むしろ講演のほうが得意である」としている。清張もたくさんの講演をしているが、清張はむしろ反対ではなかろうか?。題名がズバリ「春田氏の講演」なのだが、話の展開は全く解らない。